黙っても支出する最も注視すべきコスト評価
2010/05/07
運用先として良い金融商品の判断ポイントとして最も注視すべきはコスト評価でしょう。
どれだけのリターンが得られてもコストは確実に出ていく支出額です。
コストには、購入時にかかる販売手数料コスト、保有期間中にかかる保有コスト、現金化する際にかかる解約・換金コストの3つがあります。
各コストの評価については、以下のような理解で良いと思います。
<購入時のコスト>
購入時にかかるコストは販売手数料になります。評価としては、もちろん安ければ安いほど高評価です。
国内株式ものでは、個別株の分散購入(業種が異なる複数銘柄への投資)とETFの購入(上場投資信託)に軍配が上がります。ただし、これは手数料が安いネット証券などで「ネット経由での取引」という前提条件がつきます。金融機関の窓口や営業マンを通じて購入した場合は、手数料の金額がひとケタ違ってくるのが一般的です。
海外株式モノも、ネット経由であれば海外ETFが最も安価です。
ただし、こちらは外貨建てなので、為替手数料が追加されます。小額での売買では、「率」で考えると相当高くなることがあるので、この辺は注意が必要でしょう。
投信の販売手数料は、販売会社によってまちまちですが、海外株のインデックス投信で購入額の1.5~2%前後、アクティブ投信では3%前後が一般的な販売手数料です。これは結構バカにならない数字だと思います。
債券ものでは、個人向け国債や国内MMFは手数料はなし。外貨MMF、外貨預金も販売手数料はありませんが、特に外貨預金の為替手数料は金利と比較して高過ぎるので論外でしょう。
個別の債券は販売価格の中に含まれる実質的な手数料が不明なので、評価は低くなります。
<保有期間中のコスト>
保有期間中のコストは、長期になればなるほど運用成果に対して悪影響が及びます。
資金を運用していく中では最も注意しなければならないコストだといえます。
個別株、ETF、REIT(不動産投資信託)は口座管理料が不要な証券会社が多いですが、仮に必要となった場合であっても、ある程度まとまった投資額であれば無視できるほど小さくなります。また、一定の金額なので、運用成果には悪影響を及ぼすものではないといっていいでしょう。
一方、投信の信託報酬(資産運用関係費用)は、保有期間中、残高に対して一定の比率でかかってくるコストなので運用成果への悪影響が大きいといえます。
信託報酬はインデックス投信の場合、国内株0.5%程度、海外株で1%程度ですが、アクティブ投信では国内株で1.5%程度、海外株だと3%を超えるものもあります。
ETFも投信のカテゴリーの中にはいりますが、こちらは信託報酬が、かなり低く設定されています。
<解約・換金時のコスト>
ETF、REITは個物株と同様、上場されていますので、換金(売却)時には手数料がかかります。これはネット経由で安くすませることができます。
投信は、解約時に信託財産留保額というコストが生じるものもありますが、高くて0.3%程度のようです。
ただし、MMFは購入後30日未満で解約した場合、1万口当たり10円の信託財産留保額がかかります。現在の利回り水準では元本割れしてしまうので、このあたりは注意が必要でしょう。
個別の債券は基本的に相対取引ですので、購入時と同様、売却価格に手数料相当額が含まれます。個人でこれが妥当かどうかを評価するのは極めて困難であるといわざるを得ないでしょう。
定期預金は、満期前に解約すると金利が普通預金と同じになってしまいます。また、外貨預金は円に換えるときに再び為替手数料がかかります。