国内株式への投資術、第二位は個別株分散
国内株式への投資術第一位は、コストが安く、銘柄選考などをする必要もなく管理も楽なETF(上場投資信託)としましたが、分散効果によるリスク減少と運用コストといったものを考えると、実は、最も効果的な資産運用方法は個別株への分散投資ということになるのです。
では、なぜ個別株への分散投資を第一位としなかったのか。
まず第一の理由として、一定の資金量が必要になってしまうということです。
個別企業の株を分散し、数社の株式を購入する場合、やはり最低でも100万円超の資金が必要になってしまうでしょう。
また、分散すべき銘柄の選択が必要という点と銘柄毎の購入数バランスを悩んでしまう点で、株式投資の初心者がいきなり始めるのはとっつき難い(実際、自分が悩みましたから)と思ったため、あえて第二位としました。
では実際に個別株を分散して購入するという場合、具体的にどのようにして分散を行えばいいのでしょうか。
基本的な考え方としては、違う値動きをする個別株を組み合わせた分散効果でリスクを減少させていくということです。
とはいえ、この「違う値動きをする」ということが非常に初心者には分かりにくいのです「違う値動きをする」ということは、「業種が異なる」と同義に考えて大丈夫です。輸出関連株と内需関連株は異なる値動きをすると言えば、より解りやすいかもしれません。
個別株を選定する際、きっと多くの方が会社四季報を利用すると思いますが、会社四季報は業種別に分類されて各企業の情報が掲載されていますし、マネーポータルなどでも業種別に企業を検索できます。
会社四季報は、株式投資には不可欠の情報と言っても過言ではありません。企業の事業内容から今までの財務内容、そして最も重要な業績予想などが掲載してあるとともに、各企業の親子関係なども分かります。
こうした各企業の業種別情報を参考に、異なる業種の中から大手といわれる企業をピックアップして、3銘柄以上で独自のオリジナルファンドを組み上げれば大丈夫です。
輸出関連の業種としては「輸送用機器」や「機械」が、内需関連としては「電気・ガス」や「不動産」が、その間といってよいいのが「卸売業」などになります。
各業種の代表的企業としては、輸送用機器では「トヨタ自動車」や「ホンダ」、機械では「コマツ」や「ダイキン工業」、電気・ガスでは「東京電力」や「東京ガス」、不動産では「イオンモール」や「住友不動産」、卸売業では「三菱商事」や「伊藤忠商事」などでしょうか。
いわゆる日本の代表的な大手企業となりますので、自分の思いつくまま企業名を書き連ねていき、それぞれの業種を調べて異なった業種の企業をいくつかピックアップするという方法で実際には問題ないと言っていいでしょう。
ちなみに、アメリカにおいて有名なファンドマネージャーが選択した株によるオリジナルファンドとサルにダーツを投げさせて選択した株によるオリジナルファンドを比較し、結果的にはサルにダーツを投げて選んだオリジナルファンドの方が成績が良かったという実験結果もあるそうですので、個別株の選択には、そう神経質になる必要はなさそうです。
こうして組み上げたオリジナルファンドのコストは株式購入時の手数料のみなので、運用コストは最も安く、期待リターンのパフォーマンスも市場平均と遜色ない、場合によってよりも高くなる可能性があるものなので、国内株式での資産運用を考えた場合、最も優れた投資術であるといえます。
ただし、こうした個別株分散投資にも欠点があります。個別株の分散投資はある程度の資金量が必要になる点です。
SBI証券やマネックス証券の「S株」や「ミニ株」を利用すれば、1株単位や単元株(個別株の最低売買単位。企業毎に設定が異なり、通常100株か1000株)の10分の1で投資できますが、注文を出した当日の引け値(最終の取引値)や翌日の寄付き値(最初の取引値)での購入となるなど一定の制約があります。
さらに中古マンションの投資、つまり区分所有での不動産投資を考えた場合、利用する融資の条件にもよりますが、築15~20年程度の物件価格700万円クラスのモノであれば150万円前後のタネ銭にて不動産投資を開始することができます。とすると、100万円超の資金をそれなりの値動きをする個別株の分散購入で運用する意味合いがあるかどうか、ということにもなります。
購入ターゲットとするマンションの立地や広さ、築年数などにもよりますが、まずは700万円前後の物件から取り掛かろうとした場合、買付申込をした際の手付金として50万円くらいは直ぐに準備する必要がありますから、資金の流動性確保などと相談した上で個別株の分散をするかどうかを判断した方がよいと思います。
物件価格1,500万円超の都心エリア、築浅、バス・トイレ別の広めの物件を目指すなら初期費用は250万円程度必要になるので、こうした初期費用もそれなりの額を貯めるとするならば、個別株の分散にて資金を運用するのが効果的だと考えます。